アウトドアで鍋や食器を洗う際にいつも考えていることを述べたい。キャンプなどではできるだけ排水を汚さないために、鍋や釜、食器の汚れをまず紙で拭き取ることが多い。たいがいトイレットペーパーが使われる。しかし使用のつど紙で拭き取ると、その使用量はばかにならない。で、その紙はそのまま捨てられる。油や汚れがべっとりついたまま、あるいはびしょびしょのままクシャッと捨てられる。

紙で拭き取るのは最善の方法か    ここで二つの問題が生じる。その一は、紙を大量に消費するということで、その二は捨てられた紙を処分するのに多大なエネルギーが必要だということである。しかも乾いた薄い紙ならともかく、汁や水気をいっぱい含んだドロドロ・ビショビショにしてくしゃくしゃの紙である。よく焚き火に放り込んだ跡を見ることがあるが、そういう紙はたいてい燃え残っている。自治体のごみ焼却場でも水切り不十分のごみはとても燃えにくい。 こうやって紙と燃料を大量に消費し、ススと煙を空に吐き出す。 となると、川を汚さないためにと思って紙で拭き取ったけれど、場合によっては、むしろ汚れ水をそのまま流した方が結果的には環境にやさしかったということがあるかもしれない。

ゴムベラの活用    そこで僕が提案するのは、菓子作りなどで用いられるゴムベラを持参することである。鍋に残ったカレーやシチューをそのまま紙で拭き取るのでなく、ゴムベラで丁寧に拭き取れば、やや大げさに言えば一人前ぐらいの分量になる。後片付けも非常に楽だ。洗剤や水の使用はごくわずかに抑えられる。 僕は食べ残しや油分で鍋や食器がドロドロになる料理は、アウトドアでは基本的に避けている。そしてもう一つ重要なのは、できるだけ残飯を出さないこと。こうして、後始末で資源を浪費したり、周囲を汚したりすることのないよう心がけている。

	鍋をどう洗うかが問題だ

	普通は紙で拭き取るのが一番だと思うが、それも程度問題で、紙を使うのが無条件で一番と考えるのが正しいとも言い切れない。いやはや、難しいことだ。