もう一昔以上前のことだが、３月半ばに北海道は十勝岳中腹の自炊温泉施設・白銀荘に泊って十勝岳の山スキーを楽しんだ。白銀荘はその後改装されて立派になっているようだが、当時は「温泉がある無人の山小屋」だった。確か電気は来ていなかったように思う。申込みをして後は自分たちだけでなにもかもまかなうのである。なお、ここは吹上温泉と呼ぶ。

		白銀荘に何泊かして、北海道のスキー仲間とともに前十勝岳や三段山を滑ったのだが、３月半ばにしては雪質がよくなかった。三段山の時は結構新雪を楽しめたが、前十勝ではモナカ状の雪で北海道の名人たちもかなりてこずっていた。初日、前十勝に登る時、北海道の人たちは四国くんだりからやって来た僕のことを心配していたと見えて、僕が遅れずについてきているかどうかとかいろいろ気遣ってくれたようだけれど、自慢ではないがこけずに滑り降りたのは僕だけだった(ホントは自慢してるが）。
それはともかく、三段山を滑った後、何人かで白銀荘の少し上にある十勝岳温泉凌雲閣の露天風呂へ入りに行った。凌雲閣の玄関にはシベリアンハスキーがいて、一緒に写真を撮った。実はそんなことはまるで記憶になかったのだが、この文を書くために当時の写真を取り出したところ、その一枚があって思い出した次第だ。    露天風呂には10人ぐらいがつかっていて結構にぎやかだった。湯は茶色く濁っている。周囲には雪がうず高く積もっているので、大げさに言えば雪の壁を滑り落ちて湯舟に至るような感じだった。    僕が入ろうとしたところ、若い女の子が湯舟の中を歩いていた。それがなんとタオルを首に巻いて胸は隠れているが、その下は丸見えなのでびっくりした。同行者がカメラを構えたとたんこの光景に出くわし、面食らってシャッターを切ったのでちょっぴりぼやけている
		その彼女はもう上がるのかと思ったところが、また戻って来るので二度びっくり。さらに奥の方で湯舟が二つに分かれていて、この写真で男性が左足を上げてまたごうとしているのがそれなのだけれど、そこを彼女がこちらからあちら、あちらからこちらへと何度もまたぐので三度びっくり。僕は目のやり場に困ってしまった。奥の湯舟につかっているイタリア人っぽい顔つきの外国人男性はニヤニヤしている。混浴だから女性がいてもよいのだが、彼女がなぜただ一人男ばかりの中にやって来て、しかも前を隠そうともせずに行ったり来たりしていたのか、その時も今も思い出すとまったく不可解だ。    みんなの注目を集めた彼女はやがて出て行って男どもは失望したが、そのうち露天風呂には平静が戻った。
		僕たちが入浴を済ませて廊下を歩いていると、件の女の子がソファに座って休憩していた。もちろん服を着ているので今度は正視すると、風呂場で感じた以上に若くて、18歳ぐらいに見えた。思い切ったことをする子がいるものだと思いながらその場を去った。